巻頭言
新年あけましておめでとうございます。
ここ数年日本でも異常気象や想定外の大災害が起こっています。夏が暑い、耐えられない暑さが続き、秋の始まりが遅くなっています。この問題に、声を上げたのは16歳のスウェデーンの少女グレタ・トゥンベリさんと400万人もの世界各国の若者たちでした。
「人々は苦しんでいます。人々は死んでいます。生態系は崩壊しつつあります。私たちは大量絶滅の始まりにいるのです。それなのに、あなた方が話すことはお金のことや永遠に続く経済成長というおとぎ話ばかり。 30年以上にわたり科学が示す事実は極めて明解でした。あなた方はその事実から目を背け続け必要な政策や解決策が見えてすらいないのに、ここにきて、十分にやってきたと言えるでしょうか。」とても厳しい言葉です。抜本的な対策を取ろうとしてこなかった私たち大人への怒りがあふれています。これからでも遅くありません。
又、昨年11月24日、ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇は、被爆地長崎で「核兵器は安全保障や平和と安定を希求する上で、「解決策にならない」と述べ、「むしろ核兵器はいつもその望みの実現を妨げているように思われる」、「相互破壊の恐怖や完全破壊の脅しと平和は相いれない」、と言われました。唯一の被爆国日本が一日も早く核兵器禁止条約の批准をするように頑張りましょう。
昨年は、ラグビー人気が高揚しました。母校の大西鍼之祐教授(のべ9年間早大ラグビー部監督で幾多の実績、64年に日本代表のヘッドコーチ、66年に監督就任、68年ニュージーランド遠征でオールブラックス・ジュニアを破る。)は「われわれが今持っている平和は、敗戦後の国際的な情勢によってもたらされたものであって、われわれの血を流して獲得したものではない。従って現在の国民の大部分は平和が当たり前のように思っている。そして戦争などまさかと思っているであろう。昭和7年満州事変勃発から5年で戦争は始まっている。平和から戦争へ、そして暗黒の敗戦から40年、命がけでつかみとったこの平和を守りきらなければならない。無意味な戦争に血を流すのなら、現在の貴重な平和を守るために命がけで戦う覚悟が必要であろう。」(『闘争の倫理、スポーツの本源を問う』鉄筆文庫)と訴えています。子どもたちに平和で安心な世界のバトンを渡しましょう。
紙面について
- 特集
- 相続法が約40年ぶりに改正されました
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- 2020年1月
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- 東風 第35号