ひとりで悩まず、まずはお電話ください 093(932)5575

東風 第38号(2023年1月)

巻頭言

新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い致します。

2022年を振り返ると、個人的には嬉しいニュースもありましたが、社会情勢に目を向けるとやはり暗いニュースばかりが気になります。特に世界にとっても、日本にとっても、そして私にとってもショツキングであったのはやはり今回のロシアによるウクライナ侵略でしょう。

日本とウクライナは地理的に離れておりロシアによるウクライナ侵略による直接的な被害は少ないため、どうしてもエネルギー価格高騰による物価上昇など間接的な影響に注目しがちです。しかし、ロシアによるウクライナ侵略は、日本に秩序と平和の実現や維持について真摯に考える機会を与えた重要な歴史的転換点となるはずです。

私は平成の生まれですから、物心がついたときにはソ連は崩壊しており、東西冷戦も歴史の教科書の中だけの過去の出来事に過ぎませんでした。むしろ、学生の頃はにれからはグローバリズムだ。」と言われ、日本もかつて鉄のカーテンの向こう側であったロシアなどとの交流も進み、一時は友好ムードも漂っている様でした。しかも、ロシアによるウクライナ侵略前において、専門家の間では「ロシアによるウクライナ侵略はない。」との意見が多数を占めており、戦争勃発はおろか今日のような泥沼の長期戦になると予想した方はほとんどいませんでした。

それが一転して、ロシアによるウクライナ侵略により友好ムードが吹き飛び、かつ現在でも凄惨な戦いが続いていることからすると、秩序や平和はいきなり明日崩壊してもおかしくないほどに脆いものであり、日本の現状の平和も決して不変のものではないと認識させられました。

先述のとおり、日本にはロシアによるウクライナ侵略による直接的な被害が少ないせいか日本全体のロシアによるウクライナ侵略に対する関心は日に日に薄れているように思えます。日本の安全保障についても、すぐに取り組むべき重要課題として日本全体で真摯な議論がされている様にも思えません。しかし、ロシアによるウクライナ侵略により、秩序や平和は突然に崩れ去ることを目の当りにしたはずです。対話や関係改善を優先するか、有事に備え防衛費をあげるか、平和の実現や維持に向けた手段は様々あるでしょうが、ただ平和を願うだけでなく、平和の実現や維持に向け日本全体で真摯に議論し考えなければならない時期に来ていることは間違いないと思います。

後世の人達から「平和への努力を怠った。」と言われないようにしたいものです。

紙面について

特集
平尾台が生んだ広谷湿原 ラムサール条約の登録地にしよう
発行
2023年1月
紙面のPDF
東風 第38号
目次