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東風 第4号(2002年1月)

巻頭言

21世紀の最初の年は、戦争の年となった。

昨年9月11日のニューヨークにおける衝撃的なテロ事件とその報復によるアフガニスタンに対する大規模な空爆、タリバン政権の崩壊後もアメリカは地上部隊を投入し、更に、イラクに対して戦線を拡大しようとしている。

憎むべきテロ行為に対する報復、テロを絶滅する為の空爆という大儀名分の陰で、罪のないアフガニスタンの国民が寒さと飢餓以上の恐怖にさらされている。

アメリカは「自由と民主主義の国」と言われている。しかしその民主主義も今回のテロ事件の様に衝撃的で悲惨な事件が起きると、国民一丸、反対意見は許さないという状況になる。議会で報復爆撃に反対したのはたったひとりであり、反戦を訴えた少女を停学処分にした学校の措置を裁判所も支持してしまった。

「おそらく催々たる罪なき人々の屍の山を見た時、夢見の悪い後悔と痛みを覚えるのは、報復者その人であろう。瀕死の小国に世界中の超大国が束になり、果たして何を守ろうとするのか。私の素朴な疑問である」(中村哲「医者井戸を掘る」-その後米テロ事件そして報復より)。

日本は今回のテロ事件に対して「ショーザフラッグ」を口実に今度こそ目に見える貢献をと、国会で十分な論議をすることもなく世界に誇るべき平和憲法をなし崩しに形骸化するテロ対策特措法を成立させ、海上自衛隊による米軍支援活動を行ってる。これは戦後初めての「参戦」である。「平和」は座って待つだけでは実現できず、その為に闘わなければならないとしても、日本の役割はもっと別にあるはずである。もっと冷静に考えるべきである。

アフガニスタンでは未曾有の早魅と爆撃により数百万の餓死者が予想されると言われている。中村哲医師によると2000円で-家族10人が1ケ月生活できる小麦粉、食用油が買えるとのことである。まず、1人1人が自分でやれることから始めてみませんか。21世紀を「平和で豊かな世紀」とするために。

紙面について

特集
団塊の世代を考える
発行
2002年1月
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東風 第4号
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