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東風 第33号(2018年1月)

巻頭言

日本国憲法は、昨年、施行70年を迎えました。人間でいえば古希です。

憲法改正を党是(その党が定めた根本方針)とする自民党の長期政権下において、日本国憲法が古希を迎えられたのは、ひとえに憲法の改悪を阻止し、この憲法を活かそうとする多くの国民の不断の努力に負うところです。

ところが、この節目の年を過ぎたところで、憲法は重大な危機を迎えようとしています。

安倍首相が、9条の1項、2項をそのままにして、3項を設け自衛隊の存在を明記すると宣言し、安倍「9条改憲」を企てているからです。そのほか、緊急事態条項、高等教育の無償化、参議院合区の解消なども加憲しようとしています。

最近の北朝鮮問題などで、自衛隊の存在に対して国民の多数が容認する傾向にあります。近年の世論調査では、国民の90%が自衛隊に対してよい印象を持っているということも安倍「9条改憲」の背景にあります。

この数字は、自衛隊の災害派遣などの姿を見てのものですが、多くの国民や政党が自衛隊の存在を容認していることは注意が必要です。

9条1項、2項に3項を加え、自衛隊(戦争法を前提に)を明記することは、9条を根本から破壊する危険性があります。2項は、一切の戦力の不保持と交戦権の否定を規定しています。今や世界でもトップテンに入る戦力を持ている自衛隊の存在を明記することは、そもそも相いれないものです。2項の空文化につながります。

9条があったからこそ、明治以降度々戦争をしてきた日本は70年以上戦争をしていません。自衛隊員は、一人も殺されていませんし、殺してもしません。

現実を見て、憲法を変えるのではなく、現実を憲法に近づけることが必要です。

子どもたちに孫たちに、明るい未来を残しましょう。

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2018年1月
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東風 第33号
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