巻頭言
先日の新聞記事を見て悟然……女性が一生に産む子どもの出生率が2005年には1.25人とまたもや過去最低。もう10年以上も前から「少子化」が叫ばれていたにもかかわらず、一向に減少傾向に歯止めが利かないのはなぜなのでしょうか?親の自己選択や自己責任なる理由を持ち出す政府の見解は、もはやナンセンスとしか思えない数字・・・・世界の出生率と比較してみても、日本は1,2位を争うほどの低迷状況に陥っています(アメリカ2.04、フランス1.9、スエーデン1.71、イタリア1.29、日本1.29:20033年統計から)。
政府は、しきりに男女共同参画社会をうたいますが、これは、男女が分担しあって適度に働き、ともに家事・育児にかかわれる余裕のある社会を実現していくことにあるはずですが現実は……子を産みたくても産めないという余裕のない状況に陥っているのではないでしょうか?。この点、日本の労働時間の異常さには目を見張るものがあります。1週間あたりの労働時間が50時間以上の労働者の割合は約3割に達し、ドイツやフランスの5倍にも及んでいます。そして、小泉政権の5年間でおこなわれてきた増税や保育所の民営化は、少子化を食い止めるどころか、かえって少子化に拍車をかける結果となっています。
自己責任という名の下に出産、育児、教育のためにかかる費用は高くなる一方、学校の給食費すら支払えない子ども達がこの4年間で大幅に増加しているという異常な事態は、もはや少子化問題を超えた社会のひずみがでてきていることを示唆しているように思えます。人が人らしく生き、安心して子を産み育てる(憲法25条:生存権)ためのすべての基盤制度に思い切ったメスを入れなければならない時期がすでに到来しているのではないでしょうか。
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- 貧困を生きる
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- 2006年8月
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- 東風 第13号