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東風 第20号(2010年1月)

巻頭言

昨年秋から引き続き、今年も激動の幕開けとなりました。長年にわたる自民党政権が終わり、民主党政権に交代して期待と不安の入り混じった中でまもなく通常国会が始ります。年金などをめぐる社会保障制度の改革、雇用問題、官僚主導からの脱却、税金の無駄遣いの是正、日米外交の検証など課題は山積です。その中で、昨年末に新政権で実施された「事業仕分け」。思えば、この国の赤字財政の中で〇〇事業が本当に必要不可欠な事業なのか否かを議論する公開の場はありませんでしたし、その選定過程も、国民には不透明のまま、まさに官の主導でおこなわれてきました。公開の場で事業を仕分ける様子は、連日マスコミをにぎわせ、旧政権下では想像すらできなかったと感動する反面、財務省や防衛省を改革するべき事業仕分けについては、なんとも、おざなりです。また、日米外交、特に沖縄普天間基地問題に関して右往左往としている状況は、新政権の危うさを象徴しています。既にこの基地の移設は10年前に日米で合意に達しているものの、未だ実現していません。その間、2004年には、普天間基地の米軍ヘリが近隣の大学構内に墜落して炎上しました。実は、沖縄ではこのような米軍機の墜落や機体の一部・物資の落下・緊急着陸などの事故が頻繁に起こっていて(03年~07年の5年間で240件余)、過去には多数の県民が巻き添えになっています。このような惨劇を新たに沖縄北部(辺野古の新基地予定地)に拡大することは言語道断ですし、また、沖縄以外の本土に押し付けることも許されません。思えば、戦後65年、外国の軍隊にこれほどまでの大規模な軍事施設を国内に保有させ、かつ、莫大な日本の税金(思いやり予算等)を投入して駐留を許している国は、世界をみても日本以外ほとんど例がありません。今の日米同盟は、莫大な負担を日本に強いていて、対等とは程遠いものです。また、長年のインド洋での兵たん活動(給油活動)から脱却し、アフガニスタンの真の平和復興となる民生支援への転換にも民意は高まっています。戦争に巻き込まれ、何の罪もない愛すべき家族を失っているアフガニスタン国民の惨状を目の当たりにすると、真の世界平和の実現とは、決してノーベル平和賞といった名誉を得ることではなく、生の戦争の痛みを共有できる想像力とそれを回避する賢明な行動力が必要です。世界に誇る平和憲法を有している日本が、政権交代を果たした今、真の世界平和と日米同盟をどのように新構築していくのか、私達国民と世界各国の人々がおおいに注目する新年の幕開けとなりそうです。

紙面について

特集
忘れない あしたのため 未来のために
発行
2010年1月
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東風 第20号
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