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東風 第23号(2011年8月)

巻頭言

暑中お見舞い申し上げます

特に、東北の大震災や大津波、原発事故で被災された身あさま、そのご家族、ご親族のみなさま、心よりお見舞い申し上げます。また援助に尽力されておられる皆様、本当にご苦労様です。暑い夏、くれぐれもお身体ご自愛ください。

それにしても今回の震災のようなすさまじい自然の猛威を見せつけられると、人間という存在の弱さ、はかなさを実感させられます。その一方で、たくさんの大切なものを失われた方々が、少しずつ立ち上がり始められている姿を拝見すると、人間という存在の強さ、崇高さというものを感じます。弱いけれど強い、人間はそんな不思議な力を持つ存在のようです。しかしこの不思議な力は一人ぼっちでは出てこないのではないでしょうか。人と人との心の触れ合い、その人の心に届くほかの人のいたわりや優しさ、そんなものからその力は引き出されるように思います。私どもの事務所の近くに病院があります。その病院に毎週通っておられる老夫婦がおられます。奥様の方はたぶん認知症気味なのでしょう、旦那様がいたわるように手を引いてゆっくりと歩いて病院に向かわれます。そのお姿をお見かけするたびに、私の胸は優しい気持ちであふれてきて、生きる力が湧いてくるのです。お二人もそれぞれの手のぬくもりがあるから前を向いて歩いておられるのではないでしょうか。

金子みすゞに「みそはぎ」という詩があります。

ながれの岸のみそはぎは、だれも知らない花でした。

ながれの水ははるばると、とおくの海へゆきました。

大きな、大きな、大海で、小さな、小さな、一しずく、だれも、知らないみそはぎを、いつもおもっておりました。

それは、さみしいみそはぎの、花からこぼれたつゆでした。

あなたのことを想い、支えようとしている人は必ずいます。もしそうじゃないのなら、この大震災を機にそんな社会にしようではありませんか。そして一緒に生きてゆきましょう。

紙面について

特集
原子力の行く先は・・・アトムとウラン
発行
2011年8月
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東風 第23号
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