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東風 第31号(2016年1月)

巻頭言

新しい年を迎えると身か引き締まります。初詣にはもういらっしゃったでしょうか。一昨年には秘密保護法、昨年は戦争法と、私たちを戦争やテロの危険にさらしかねない法律が安倍政権によって、憲法を無視し、次々と強行採決されている現状からすれば、平和であることをお願いされる方が多いのではないでしょうか。

さっそくですが、皆さんは、ミヒャエル・エンデの「自由の牢獄」というお話をご存知でしょうか。主人公が111個もの扉のある部屋に連れていかれ、その扉の中から自分だけの力で自分の運命である扉の選択を迫られるというお話です。或る扉は血に飢えたライ才ンが持ち構えているかもしれないし、或る扉はお宝ザクザククの場所に通じているかもしれない。ただし、扉自体ははみな同じで、選択の根拠になるようなものは何もない。さあどうする。主人公は扉を選ぶことができず、扉に対する関心を失っていきます。主人公が関心を失っていくにつれ、扉の数は減っていく。扉の数かlつになっでも主人公はその扉すら選べない。そして扉はなくなり、主人公はその部屋から解放される。こんなお話です。

このお話は通常は自由の文脈で語られます。私たちには、本当は選択するという力はないのではないか、だったら、私たちに自由を保障する意味はないのではないかという文脈です。しかし、私にはこのお話が、私たち人間が「つながる」ことの大切さを説いたお話のように思えるのです。一人一人の人間は弱い存在です。選択するために必要な情報や能力、決断する勇気、それらを一人で十分に持ち合わせた人間。そんな人は本当にいるのでしょうか。一人一人バラバラにされたとき、人間には選択する力などないに等しいのかもしれません。そんな人間が選択する力を持ちうるのは、人間が「つながる」能力を持っているからだと思います。例えば文字。その力で人間は時と空間を超えて「つながる」ことができます。世界中に知を発信し、時間をかけて小さな知を大きな知に変えていくことができます。「つながる」ことで勇気を持てます。人間の選択する力はそのような多くの人との「つながり」の上に成立しうるのだと思います。

ところが、今、私たちは「つながり」を奪われています。孤立させられています。そこに生じてくるのは「自由の牢獄」に描かれたような選択の放棄です。それは独裁につながります。事実、私たちの前にも独裁が姿を現そうとしています。その一方で、シールズなど平和と民主主義を守り抜こうとする人たち多く出てきています。この「つながり」を今年はもっと拡げ、強めていきたいものです。

そして、もう一度、憲法に力を与える選択に「つなげて」いきましょう。

紙面について

特集
4人の弁護士に聞きました 未来につないでいきたいことは何ですか?
発行
2016年1月(この号から年1回の発行になりました)
紙面のPDF
東風 第31号
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