巻頭言
昨年は本当にお世話になりました。今年も小倉東総合法律事務所をよろしくお願いいたします。
さて、最近はかなり季節感が薄れてきていますが、やはり新しい年を迎えると身が引き締まる思いがします。特に今年は、政府が改憲の動きをさらに進める可能性があるので、より一層身が引き締まる思いです。もちろん、当事務所は、今の憲法を守ろう、言い換えれば、現在の改憲に向けた動きの中で今の憲法の素晴らしさを知らせ、改めて今の憲法を選び取るという意味で、改憲の発議をさせないという立場です。
今の憲法を選び取るのも、新しい憲法を選び取るのも、その力を持っているのは、私達自身です。しかし、大切なことは、その力を私たちは、私たち自身のためだけではなく私たちの子孫、将来の国民のためにも正しく使う責任があるということです。
憲法は、全文で、「われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」、11条は「この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与えられる」、97条は「これらの権利は、過去各幾多の試練に堪え、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」と繰り返し述べて、このことを明確にしています。
私たちの子孫、将来の国民のために、憲法を選び取る力を正しく使う責任を果たすためには、私たちは、私たちの子孫、将来の国民と真摯に向き合い、話をしなければなりません。もちろん、頭や心の中で話をするのです。想像する力や理性の力で、このような話をすることができるのが私たち人間だからです。
政府は、たくさんのお金を使って、マスメディアやSNSを動かし、大量宣伝をして、私たちが冷静に考えること、つまり、私たちの子孫、将来の国民と話をすることを妨害するでしょう。私たちの感情に訴えかけて、情動的な判断をするように操作してくるでしょう。そのときにこそ、私たちは、一息ついて、自分のそばに目に見えない子どもたちがいることを思い出し、その子どもたちの声に耳をすまさないといけません。
新年早々、堅い話になって恐縮ですが、今年は皆さんとともに、将来の子どもたちの声を聞き、今の憲法を選び取っていく年にしたいと思います。
紙面について
- 特集
- 事務所は20歳を迎えました これからも憲法を活かし頑張ります
- 発行
- 2019年1月
- 紙面のPDF
- 東風 第34号